かみ合わせ
2019年6月19日
矯正治療を始める前に、顎関節の治療を開始したケース
顎関節CT画像の矢状断面
19才、女性。顎関節CT画像の矢状断面(体の前から後ろに切断)により、右側顎関節の関節頭が関節窩の中で後ろにずれ、前方部に関節腔(黒い隙間)が大きくなっているのが見られます。
これにより、右側臼歯部における垂直顎間距離の低下と、下顎位(下顎の噛む位置)が右側に変異している(ずれている)可能性がうかがえます。
また、長期間に渡る右側変則噛みの習癖を持っておられる可能性もみとめられます。
そのため、マウスピースによる下顎位の修正と、関節表面の皮質骨に、骨の添加を期待します。
約半年から1年にかけて、下顎位の修正を行い、それから矯正治療を始める予定です。
顎関節CT画像の前頭断面
前頭断面(顔の前面を後ろにずらし、顎関節部で0.2mm幅のCT画像)。
両側とも関節窩の内側部に小さな黒いシミをみとめます。
これは夜間、あるいは昼間、食事以外の時間に本人が無意識に噛み締めながら顎を左右に動かす(歯ぎしり)癖があるために、関節窩内側部分の表面骨の吸収をみとめます。
これについても、マウスピースを食事以外24時間装着することによって、半年から1年で黒いシミの部分に新たな骨の添加が起こるのを期待して治療を開始します。
骨の添加を確認できれば、矯正治療に移行したいと思います。
このような下顎のずれや、関節の変形を起こしているかどうかを大掛かりな治療を行う前に必ず検査し、ずれがあれば修正する必要があると思われます。