かみ合わせ
2022年10月26日
右側顎関節頭が 著しい変形を起こして、顎位が右側に変異した症例
47歳女性
・肩こり、疲れやすい、頭痛
・食事時に左側顎関節の痛みを伴って、食事が出来無い。
・左側顎関節頭の変形を伴う。
・長年食事中の咀嚼が右側
・ご来院いただく一年前より改善のため3件ほど医院を回ったが治せないといわれた
・就寝時のマウスピースは他院で製作されたものを使用していた
本症例における前提~咀嚼時の癖・緊張による影響~
私たちは食事中に咀嚼運動について意識をして食べている方はほぼいないと思います。
今回の患者様のように常に左右どちらかで噛む癖がある方はお気をつけください。
左右のバランスが崩れたり咀嚼運動で異常な癖などがあると、関節異常や口が開きにくい症状が起きる可能性が高いです。
食べ物が口に入ってからの咀嚼運動を分解してみると・・・
食べ物を口に入れると歯や筋肉の中にある「感覚受容器」が瞬時に対象物の硬さや厚みなどを感知し脳に信号を送っています。
その後脳から食べ物をかみ砕くために歯や筋肉に指令が行き、咀嚼運動を無意識に繰り出しているのです。
無意識のうちに片噛みの癖を長年続けてしまうと・・・
咀嚼時に瞬間的に『両側の奥歯が同時に接触される』ことが正常な状態です。
しかし普段から片方の歯だけで主に食べ物を噛む癖があるという方は、この咀嚼の瞬間に左右で歯が接触するタイミングにずれが生じているといえます。
タイミングがずれると先に歯が接触した方の筋肉に緊張が生じます。
例えば、小学生等の早い時期から右側での片噛みの癖があり、何十年とその癖を続けているとどうなるのでしょうか?
先に嚙んだ方(右側)で筋肉の緊張が起きる
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筋肉の緊張により頭部が右側に傾く
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頸椎が湾曲し背骨も湾曲するため、最終的に左右の骨盤の高さも変わってしまう
※咀嚼時の左右差や筋肉の緊張は全身のゆがみ、頭痛などの原因になる可能性もあります。
かみ合わせを調整した後は、最良の状態を長く維持していただくために「マウスピース」をつけることで日々の歯ぎしりや食いしばりにおける過度な筋肉の緊張を防ぎ、関節への負担の軽減を目指すことが重要です。
治療方針
患者様の習慣(咀嚼時の癖)やCT画像から下記の可能性があると判断しました。
・長年に渡り習慣性の咀嚼側が右側であったこと
→長年になると天然歯の摩耗が著しい可能性が高い。
・CT画像から右側の関節の骨の吸収が大きく、左側内側への骨のすり減りが認められている
→睡眠時の歯ぎしりを右側方向に歯ぎしりが行われていた可能性が高い
スタビライゼーション(全歯接触型)のマウスピースを使用いただくことにしました。
CT画像
右噛みの癖があるために右側顎関節頭の吸収が起こり、そのために左右の下顎枝の長さが右側だけ短くなっています。
※スタビライゼーション(全歯接触型)マウスピースを入れて経過観察中です※
顎関節CT画像の矢状断面
右の顎関節の矢状断面では正常な関節とは違う状態(関節部分が崩れている)。